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世界を旅したあと日本で百姓に落ちついた。 こんないい田舎が残っている国が好きダナ。
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きむらちゃんと3びきの猫


3月23日、畑から戻るとヨシコの病院から電話があって

21日に差し入れたジュースが既に完売したとのこと。


夜勤に行くついでにお菓子と共に飲み物を入れた袋を携えて

病院に立ち寄る。ちょうどヨシコがいつものように廊下を周回

している最中にぶつかり、遭えた。しかしこの間とは打って変わって

ニコリともしない。つないだ手にもいつもの温かみやソフトさがなく

少し汗ばみ、二の腕辺りから筋肉が硬くなっている得体の知れない

緊張感や焦燥感のようなものが伝わってきた。何もしゃべらない。





2008年3月24日imadoki編


「まじ」がえり


夜勤出勤前のため時間がなく、ナースステーションに

差し入れを頼んだだけで、立ち話もせずヨシコと手をつないだまま

もと来た出入り口に戻り別れを告げた。門番の看護婦がいなかったら

ヨシコもワタシと一緒に出て行く勢いを感じたので、「またね」と

何気ない風を装ってワタシだけすばやく、しかしあせっていることを

感じ取られないように病棟外へ出た。ガラス戸越しに見えるヨシコを

置いて去るには後ろ髪がひかれる「尋常でない」きょうのヨシコだった。

「まじ」がもどったのだろうか?この病院にいることの現実を重く

受け止められるようになったのだろうか?

いつものおどけて、はにかんだ、プクプクの笑顔をまったく

しなかったきょうのヨシコに会い、つなだ手と、体のこわばりを

感じながら、まじな目つきに変わった彼女の心中を思うにつけ

切なさと不安で、気持ちは落ち着かなかった。

こんな気持ちは初めてだった。

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きむらちゃんと3びきの猫


3月25日、入院4週間目のヨシコとの面会日が来た。

2日前に会ったまじ顔の笑わないヨシコがその後どうしたか

気になりながら病棟にヨシミちゃんと2人で入っていく。


いつものように廊下をグルグル回り続けて歩いてくるのかと

思いきや、ヨシコは食堂にいて担当の看護婦ジュンちゃんと

久しぶりに一緒だった。ヨシコの顔には先日のこわばりはなく

いつものニコニコ顔が戻っていた。それにしてもたった2日前

会ったあのこわばりとまじ顔は何だったのか?やせてさえ

見えたその同じ人は、今はお茶をがぶ飲み、団子を食べ、

煎餅をかじっては、久しぶりのヨシミちゃんにおにぎりをねだ

っている。3度3度の食事もほぼ完食だっていうのに。

顔がだんだんお相撲さんのようになってきた。




2008年3月26日imadoki編


さかさま銀次


ヨシコの担当ナースは入院早々「ジュンちゃん」と

ヨシコに呼ばれてきた。この子の人の呼び方は人への接近術の

ひとつとでも言うべきもので、独特で妙であたたかさのあるトーンが

ある。いつの間にか父であるワタシは「ヨシオ君!」母であるわが妻は

「ヨシミちゃん!」と呼ばれる慣わしで定着してしまった。

そのうち担当の小児科の女医を「イシイちゃん!」とかなんとか

呼び始めるような気がして気が気でないが。


さて、本日の朝日新聞『女と男』という特集記事でウチダタツルと

いうトックリセーターのざっくばらんオッサン教授がいいことを

言っていたので載っけてみる、


---------いまの人が男女関係で苦しんでいるのは愛情の欠如じゃなくて

       相互の敬意の欠如じゃない?

     なんでこの人はこんなこだわりがあるのだろうと、あふれる好

   奇心と敬意をもって見つめる。理解できないけれど、いつも一緒に

   いたくて抱きしめたくなる。なぜか。自分の中にあるブラックホール

   と対応しているからですよ。

     つきあうほどに底知れぬわからない人だと互いに見えてくる。

   理解できる部分より理解できないほうが多いことに気づいていく。

   そんな何考えてるかわからない不気味な生き物と暮らせてすごいと、

   共生できる能力に感動すべきなんです。ぴたり理解して生活できる

   のが愛だと勘違いしている------------------------




ヒトもネコも一皮向けばおんなじわけのわからない不気味なエーリアン。

ネコもヒトも「猫を被って」どうにか一緒に一つ屋根の下で楽しくおかしく

ドタバタと、共に数十年生きる間柄もある。これまた何かのエニシ。

子も親も女も男もネコイヌも、わけがわからないけど、オモシロイ!
   

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きむらちゃんと3びきの猫




40日が過ぎた、ヨシコに3日ぶりに会った。

きょうは久し振りにヨシミちゃんにしがみつき

自宅に帰ろうと、病棟入り口で抵抗した。



ウチに帰ってゴマプリンも食べたいしチョトスも食べたい

カルピスも飲みたい、ギンとマルにも会いたいだろう。





2008年4月2日imadoki編


生き急がないで


ヨシコはもう1ヶ月以上家に戻らず病院に缶詰。

逃げられない。鍵のかかった病棟の出入り口。

でも今は、何をどうすれば、ここから出ることが

できるのか、学習ができないヨシコ。

それがわかるようになったら、いつでも

出れるのに。

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きむらちゃんと3びきの猫


「ウチに帰る」と会うたんびに言われ、ヨシオとヨシミは

病院を去るたびに後ろ髪を引かれる思いをしている。

退院までのこれもプロセスなのだと自分自身に言い聞かせながらも。

久しぶりに5月の連休はそのウチにほんの少しだけだがもどってきた

ヨシコちゃんは、薬のせいや運動不足でマルマルギンギンになった。





2008年5月5日kodomonohi編


外泊すること=自宅に帰ること

東京の二人のおねーちゃんも帰ってきた。

ヨシコ待望熱望の「5月連休の外泊」が始まったと思ったら

もう病院にもどらなければならない最終日になってしまった。

病院に迎えにはワタシ一人で行ったが、その時からワタシには

あっという間に過ぎてしまう2泊3日の最終日のことが思われて

3日で全てが終わってしまうかのような焦りや不安が

ヨシコと姉二人と妻との久方ぶりの一家団欒を過ごしながらも

心のどこかが落ち着かなくてしょうがなかった。

そして今、東京に帰る上のおねーちゃんとの夕食会をかねながら

ヨシコたちは病院方面へ出かけていった。

当のヨシコもぐずることなく出かけていった。

その姿がまた、ワタシに切ない思いを抱かせた。

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きむらちゃんと3びきの猫


5月17日~5月18日。姉2人のいた楽しいGW外泊の

大興奮の数日とはガラっとちがう静かな外泊をワタシたち

夫婦と3人で、ヨシコは平凡な2日間を過ごした。



モチロン、平凡とは言っても、病院から家までの半分を徒歩で

歩いてみる、とかいった趣向はハナから準備万端だったが、、、



2008年5月20日taifoonNo.4sekkin編


入院3ヶ月目の「気づき」

久しぶりに平凡な週末をヨシコは家で過ごした。

家は本当に落ち着くらしく、うたた寝をするソファーで

くつろぐ様子もなんてことはない日常のスナップの1コマだが

ゆったりと落ち着き、実に穏やかそうなヨシコなのである。


日曜、いつものようにワタシはテニスで半日汗を流した後、

3人でりんご温泉までドライブし、帰りに山辺の『ベル』という

田舎のショッピングプラザに立ち寄った。23cmのズックが

きつくなったというヨシコの新しい靴を見に、である。


靴コーナーにあった姿見に映った自分の姿を見たヨシコが

突然、顔を赤らめながら、しぼり出すように、言葉を口にする、、

「ヨシコチャン、、、全部、、、イヤダ、、、、太ってて、、、」


思わずワタシたちは噴き出し、しかしその意味深長さに絶句した。

「な~に、今更!? 太ってるのに気がつかなかったの~!?」と、

既成事実化しているメタボなヨシコを深刻にならないようちゃかしながらも、

今、客観的にそんなメタボな「自分」に初めて気づいたように向きあい

客観視し始めた「自我に目覚めたヨシコ」をワタシたちも初めて

この5年以上の歳月の中で、見る思いがした。

何かが、彼女の中で変わろうとしている。



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