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世界を旅したあと日本で百姓に落ちついた。 こんないい田舎が残っている国が好きダナ。
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きむらちゃんと3びきの猫


3月21日、ヨシコの病院に洗濯物と特別児童扶養手当申請書類を

届けるため、夜勤先に行くついでにワタシは立ち寄った。

2階の病棟に登っていく。訪問記録を記入し、施錠された入り口の

係の看護士さんに目で挨拶する、その目線の先にヨシコがこちらに

向かって歩いてくるのが見えた。面会日でもないし、勿論予告する

はずもないのに、偶然のようにヨシコはワタシのほうに歩み来て、

はにかみ笑いしながらも、ワタシの差し出した手を握り、仲良く手を

つないでふたり、ヨシコが来た方向に向かってまた歩き始める。




2008年3月23日imadoki編


「帰る!」と断言する言い方


つないだヨシコの手は暖かかった。

外から来たワタシの手はことさら冷たかったので

ヨシコの手は気の毒なくらい暖かく、柔らかく、ぷっくらしていた。

ヨシコは歩きながらもワタシの持っている洗濯物の入った手提げ袋を

のぞき見ようとする。「あっ、きょうはお菓子じゃないんだ」とワタシ。

それでもがっかりするわけでもなく、ヨシコはニコニコしながら歩いた。

ヨシコの4人部屋のベッドに二人で腰掛ける。「マルと銀は?」とヨシコ。

「元気だよ、ヨシコがいなくてさびしそうだけど」と答えるとヨシコは唐突に

「帰る!」といつもの断定口調で言い出した。この子は決して『帰りたい』

とは表現しない。「~したい」の前置きはなく、いきなり「~する」という

はっきりとした意志(Will)を表明する言い方しかしない。頑固で図太く

腹が据わっているのである。


自転車で転んで前歯にひびが入る大怪我をした時でさえ、周りの子が

右往左往して騒いでいるのにヨシコ本人は泣きもしなかったという。

勿論予防注射くらいで泣くはずもない。MRI検査で最初に飲まされた

薬を「甘いっ!」て言って目の前の看護婦に全部吹きかけてしまった話は

我が家のカタリグサになっている。それくらい嫌なものは頑として拒否する。

土佐の国ならさしずめ「いごっそう」の部類に入るのだろう、そんな人。


上の姉が小さい頃、公園のロケット型ジャングルジムのてっぺんまで

登った。はいいが、おりるにおりられなくなり「たすけて~たすけて~」と

半泣きで叫んでいたという出来事もまたカタリグサだが、それとは対象

的にヨシコは人に助けを求めない。そういう、自分の気持ちの表現べた

頑固、意固地、強情、一匹狼、付和雷同しない性格だからこそ、彼女は

言いようのない嫌悪を感じていた小学校にも行かなくなったのかもしれない。

そういう「行かない!」という意志的断定でしか、学校や担任への反抗を

表現しえなかったのではないか、今思い起こせばそう思えた。

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